それでは「発声の基本」について説明させていただければと思います。
そもそも私達の声というのはどういう風に作られているのか?
まずはそちらを説明させていただきます。
普段話している声も歌声も一緒なのですが、声というのは肺から送り出される息をちょうど喉仏の所にある声帯に振動させる事によって作られます。
※声帯をイメージしにくい方が多いようなのでYou tubeの動画をリンクさせてもらいます。
声帯の動画
そうして作られた声の元を胸、口腔、鼻腔などの共鳴腔に響かせ音量を増幅し、舌や唇を使って母音・子音を作っています。
では理想的な発声を作るボイストレーニングとはどんな物なのか?
今までのコラムでも書いてきましたが大きく分けて下記の3つの事を目的とします。
1,声の元となる息を適切にコントロールする(ブレストレーニング)
2,胸、口腔、鼻腔へ効率よく声を共鳴させる(共鳴トレーニング)
3,音程に合わせて声帯を適切な形にコントロールする(声帯トレーニング)
この中の「2,胸、口腔、鼻腔へ効率よく声を共鳴させる(共鳴トレーニング)」
は声帯で作られた声の元を共鳴させる位置によって
「胸」の場合は「チェストボイス」
「鼻腔」の場合は「ヘッドボイス」などと表現するボイストレーナーさんもいらっしゃいます。
(※厳密に言えば、「チェストボイス」「ヘッドボイス」「ミックスボイス」は声帯の使い方も違います。
こちらはまた別のコラムで説明させていただきますね)
また、「胸、口腔、鼻腔」の共鳴は発声する音の高さによって部位が変わってきます。
■低音域⇒主に胸へ共鳴させる
■中音域⇒主に口腔へ共鳴させる
■高音域⇒主に鼻腔へ共鳴させる
となります。
ここで「主に」という言葉を使いましたが、重要なポイントなので説明をいれておきます。
上記のように
■低音域⇒主に胸へ共鳴させる
■中音域⇒主に口腔へ共鳴させる
■高音域⇒主に鼻腔へ共鳴させる
と説明すると
「じゃあ、低い音は胸だけに響かせたらいいんだ」とか
「高い音は鼻腔だけに響かせたらいいんだ」
などと極端に解釈をしてしまう人がいるからです。
厳密に言うとどの音程でも全ての共鳴腔(胸、口腔、鼻腔の事です)を使います。
ただ、その比率を音の高さによって変化させなければならないのです。
また、どの音程でも1つの共鳴腔に響きを集めすぎると声を飲み込んでしまったり、声を詰めてしまったりと発声の質が悪くなってしまうので要注意です。
このコラムでも良く話していますがバランスが大切なんですね。
個人差やフレーズによって違いが出てくるので目安で説明すると
低音域の場合⇒胸に60%、口腔に20%、鼻腔に20%
中音域の場合⇒胸に20%、口腔に60%、鼻腔に20%
高音域の場合⇒胸に20%、口腔に20%、鼻腔に60%
という風に変化させていくのです。
(あくまでイメージを掴む為の数字です、状況によってこの数字は変化していきます。)
詳しくは別のコラムで説明しますので今は難しく考えすぎず概要を捉える程度にしておいて下さい。
次回のコラムでは発声の基本中の基本である「声の通り道から障害物を取り除く」を説明させていただきます。
1982年(昭和57年生まれ)
アーティスト活動を続ける中、日本・海外流問わず様々なジャンルのボイストレーニングを習得する。
その後、日本では最大数のボイストレーナーを抱える大手ボーカルスクールの統括として働き、現場で生徒さんにボイストレーニングを教えるボイストレーナーへの指導も行う。
今まで指導してきた生徒数は300人を超える。